【一粒の種から】遠野のお日さま浴びてすくすく育つブルーベリー~収穫の一日~

 

夏場、昼間は暑く夜は涼しい、山あいで田んぼや畑に囲まれている岩手県遠野市にある宮守川上流地域。山あいの手しごと屋さんがあるのはそんな場所です。

たくさんの野菜やくだものが採れる、待ち遠しい夏が来た7月に入ったら、地域のブルーベリー部会で力を合わせてブルーベリーを収穫します。このブルーベリー農園は栽培から収穫、選別など、すべての作業が地域の方々に支えられています。

今回は、地域の方々に同行し、ブルーベリーの収穫を取材しました。

 

▽農園のある里山の上から見える景色

ひぐらしの鳴き声が山あいに涼しく響く朝5時前、ブルーベリー部会のメンバーが集まり、摘み取り作業が始まります。宮守川上流地域にある里山の斜面には、一町歩(約1ヘクタール)に2,300~2,500本ものブルーベリーの木からなる畑が広がっており、そのなかでも早生(わせ)、中生(ちゅうせい)、晩生(ばんせい)に適した10品種の苗木が植えられています。7月上旬から8月に向けて徐々に摘み取る品種を変えていき、約1ヶ月で摘み取り作業を終えます。

 

▽宮守のブルーベリー摘み取り作業のスタイルは画像のようなもの。

 

腰に蚊取り線香を付けながら、ヤッケ(画像の方が着ている作業用の服)やエプロン、腕抜きに手袋をつけ、カゴを腰に巻いて摘んだブルーベリーを入れていきます。

 

▽広大な農園で一つ一つ丁寧に摘んでいく

 

朝から元気に手で触り、長年の感覚で完熟したものを選びながら手摘みをしています。

摘み取ったあとの農園はブルーベリーのいい香りが広がる中、私も少し摘み取っていると、

「食べていいよ。5粒くらいいっぺんにに食べると口いっぱいにブルーベリーの味が広がっておいしいんだ」とおばあちゃんにすすめられました。

 

お言葉に甘えてパクリ。

採れたてブルーベリーを食べたことなかった私でしたが、甘かったり少しすっぱかったり、粒のひとつひとつからブルーベリーのおいしい味わいが楽しめて、この贅沢な食べ方は一番の食べ方になりました。

同じ品種でも味が違う理由を聞いてみると、木によって、ブルーベリーのサイズは関係なく甘いものや酸味の強いものなど、さまざまあるとのこと。同じ品種でもそれぞれの木で味が違うようです。

 

ブルーベリーがこうしていろいろな実をつけるのも、きちんとお手入れをしているから。

毎年、まだ雪も降り凍える寒さの3月ごろから、肥料をあげ、成長させるために不要な枝を切る剪定(せんてい)作業に入ります。農薬を使用していないため、虫には気を付けながら大切に育て、7月には実をたくさんつけるようになります。

 

長年ブルーベリーの成長を見守り続けていた地元の方に話しを聞きました。

「20年くらい前からかな、やりはじめたのは。立派なブルーベリーを多く収穫するまでには、たくさんの人の力が必要だったんだよ。みんなでやるからできる。あきらめずに手入れをすると大きくなっていくんだ」と、とあるおじさんが言いました。

 

毎年お手伝いにくるお母さん達からは、

「日々のことを、たった一ヶ月だけどここへ来てみんなと話して発散するの」、「ブルーベリーも食べられるっけしね」、「私は朝起きるのも嫌じゃないくらい楽しいよ。採っても採ってもたくさん実をつけて、それを収穫するのは全然飽きないの」、「年をとっても働く場所があるのはうれしいよ」、「みんなここで稼ぐ人はブルーベリーフレンドだ~!」

終始、和やかなムードで収穫作業をおこなっていて、おいしい実がたくさん生る理由はここにもあるのだろうと思わせられました。

 

お母さん達が手早く摘み取る中で、学生の男性もひとり、作業に入っています。

地元に帰省し、夏休み中のバイトを探すなかで、地元の友達からここを紹介してもらったそう。話を聞いてみると、

「どれを収穫していいかわからないなか、周りの人たちははやくてすごいと思います」

他にもできるアルバイトがあるなか、地元で触れ合いながら作業をする彼をたくましく思えました。

 

朝9時過ぎ、摘み取りを終えたブルーベリー部会は、ブルーベリーの大きさを分けたり、傷んだものは分けたりする選別作業に入ります。

地元産直『サンQふる郷市場』の前に作業スペースをつくり、みんなで摘んできたブルーベリーを吟味します。

私も選別をお手伝いするなかで、ブルーベリーの良し悪しを判断するコツを教えてもらいました。

「少しでも水っぽいのはダメ。触りすぎてもやわらかくなってしまうから、ひとつずつ手に取って上下確認して、最後にサッと全体を見て判断するの」

私がゆっくり慎重にブルーベリーを確認している間も、皆さん手早く選別を進めていて、さすが達人たちだなと驚きました。

 

このあと、大きさごとに選別されたブルーベリーは贈答用や地元産直に売り出せるよう、丁寧にパック詰めをしていきます。

パック詰めが終わるころを見計らい、地域の方は、地元産直『サンQふる郷市場』で摘みたてブルーベリーを買いに来ます。オリジナルジャムをつくったり、冷凍してブルーベリースムージーをつくったりしているそう。

加工場では、地域の方が食べている味をそのまま皆さまへお届けできるよう、ジュースとジャムを、心をこめてつくっています。

 

次回は、「山あいの豊かな自然で育つあまいミニトマトのはなし」をお届けします。

 

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