【ばさまの簡単レシピ】岩手の郷土料理~ひっつみ編~
地域で愛される地元の味
皆さまの地域には郷土料理はありますか?
思い浮かばない方も、多分どの地域にも知られていないだけであると思うんです。
私の地元埼玉では、味噌ポテトやおっきりこみうどん、ちょっと変わった名前だとゼリーフライ(おから多めのコロッケ)など、小学生の時に給食で郷土料理として出ていたこともありました。
今回は、そんな郷土料理の中でも岩手や青森で親しまれている『ひっつみ』をご紹介します。
『ひっつみ』とは、関東近辺のすいとんや西日本のだんご汁に似た、小麦粉を練ってひとくちサイズに薄く伸ばしたものを入れた汁物です。
生地を引っぱって摘むことから、引っ摘む→ひっつむ→ひっつみと呼ばれるようになったそうです。
冬の寒い日に『ひっつみ』を食べると、とってもあったまって幸せな気持ちになるんです。
今回『ひっつみ』をつくってくれたのは、私たちの加工場の中でも料理名人のばさま。(⇒おばあちゃんという意味)
根菜たっぷりで、寒い冬にぴったりなレシピを教えてくれました。
決まった分量はなく、舌で確かめながら料理をして、その日の味ができあがるのもまた魅力的なつくり方だなと思います。
ひっつみのレシピ
材料
ひっつみ生地(約4人前)
・小麦粉 食べたい量(200~300gが妥当)
・水 小麦粉の1/3程度(状態で変わる)
調味料
・醤油 お好きな濃さ
・酒 ひとまわし
・塩 少々
・砂糖 ひとつまみ
・(お好みで)七味
具材(4人前)
・豚バラ肉 150g
・大根 1/2
※大根を下ゆでする場合
・米のとぎ汁(小鍋に大根が浸るくらい)or生米大さじ1程度
・人参 1/2~1本
・ゴボウ 1/2本
・白菜 小さめを1/2
・ネギ 1/3本
・しめじ 1/2パック
事前準備
ひっつみ生地
①小麦粉を入れたボウルに少しずつ水を加え、こねます。
②耳たぶよりちょっとやわらかいくらいまで手でこねたら、冷蔵庫で1~2時間寝かせます。
(寝かせるとコシUP!場合によっては半日以上寝かせる人も。)
③大根をいちょう切りにし、下茹でをしたあと冷まします。
※下茹では、小鍋に大根が浸るくらいの水(生米を使わない場合は米の研ぎ汁)と米を入れ、15分くらい煮たあと、竹串で確認します。
(下茹でをすることで味が染みやすく、あくやエグみもなくなります)
ひっつみの汁づくり
④鍋に食べたい量の水を入れます。
⑤ゴボウはささがきにして水にさらしておきます。
人参はいちょう切り(ささがきでも可)にして、水にさらしたゴボウと一緒に鍋で茹でます。
⑥茹でている間に、白菜、ネギ、豚バラを一口サイズに切ります。
野菜、ひとくちサイズに分けたしめじ、下茹でした大根を一緒に鍋へ入れます。
⑦野菜がやわらかくなったら、豚バラをそのまま鍋に入れます。
時間があれば、焼いてから鍋に入れます。(このひと手間がおいしい!)
⑧鍋が煮立ったら、醤油をおたまに入れながら調整し、塩少々と砂糖ひとつまみ、酒を鍋にひとまわし入れます。
⑨調味料を入れ終わったら、最後に醤油→塩の順で塩味を調整。
この後煮るので気持ち薄めでOK、一番最後にもう一度味の調整をします。
⑩寝かせていたひっつみを取り出し、もう一度こねて感触を確かめます。
(かたければ水を少しずつ足す)
⑪ひっつみを手のひらサイズに取り、少しずつちぎりながら薄く伸ばし、そのまま鍋に入れます。茹でていると汁が濁り、ひっつみや汁にとろみが出てきます。
※ひっつみを別茹でする場合
別の鍋に湯を沸かし、お湯の中にちぎり入れます。ゆであがったらザルにあけ、ひっつみ汁に入れます。汁が澄み、もちもちのひっつみができます。
⑫最後に煮込まれたひっつみの汁の味を確認し、薄いようなら醤油と塩で調整します。
⑬完成。お好みで七味をかけてもおいしいです。
コツ
ひっつみの生地は、その時の気温や湿度によって変わるとのこと。
耳たぶより少しやわらかいくらい、がポイントです。
また、煮詰めすぎるとしょっぱくなったり、ひっつみが溶けてやわらかくなりすぎるときもあるので、都度ひっつみのやわらかさや汁の味を確認しましょう。
遠野宮守は、寒いときで最低気温ー20度ほどになる地域。
ひとくち食べると、冷えた身体が温まっていくのがわかります。
ひっつみはやわらかく、トロっとした食感で、優しい汁の味と相性抜群!
味が染みた大根やほかの野菜もほくほくでとってもおいしかったです。
写真の奥にチラッと見えるおにぎりとお漬物もばさまの手づくり。
おにぎりは、甘いお赤飯『ふかし』。お漬物は『大根の味噌漬け』です。
どれもこれもおいしすぎて、ペロッと完食してしまいました。
今回は醤油味でひっつみを作りましたが、この地域では味噌や鶏ガラでもよく作られています。
また、お肉は豚肉以外に、鶏肉を入れるのも定番。
ひっつみの厚さは、薄いもの・分厚いものが好みな人など、さまざまなようです。
地域や教えてもらう人、つくり手によって同じひっつみでも味や具材が変わり、さまざまな種類ができるひっつみは何度食べても飽きず、身近な料理になるのもよくわかります。
皆さまも、ばさまのレシピを基に自分好みの具材を揃えて、ひっつみをつくってみてはいかがですか?
ひっつみを薄くひっつむのは難しそうだけど、私もさっそく週末にひっつみづくりに挑戦してみようかな。