【宮守あれこれ】遠野達曽部の多田農産さんに聞きました~おいしい野菜をつくる秘密~

宮守町達曽部(たっそべ)地域は、岩手県遠野市の北西部、花巻市や盛岡市を繋ぐ場所であり、かつては宿場町として栄えました。
自然もとても豊かで、「稲荷穴」という鍾乳洞から湧き出る水はとても美しく、「いわての名水20選」に選ばれるほど。その近辺では根わさび栽培も盛んで、県内でもトップシェアを誇る生産量です。

 


△稲荷穴

綺麗な水が豊富な達曽部地域では昔からお米の栽培が盛んでしたが、少子高齢化もあって年々お米の栽培は減り、休耕田が多い状況になっているのが現状です。
そんな休耕田を活用し、約9年ほど前からにんじんやお米、ピーマンの栽培などに挑戦し続けている農家さんが居ます。
そこで今回は、様々な農作物を栽培しながら挑戦を続ける、「多田農産」の多田貴博さんにおいしい野菜をつくる秘密を伺いました。

△左から スタッフの菊池真也さん、貴博さんと奥さまの春奈さん

Uターンで達曽部へ

貴博さんは達曽部生まれ達曽部育ち。しばらくは千葉に移り住み仕事をしていましたが、Uターンで約16年ほど前に地元達曽部へ帰郷しました。地元で介護の仕事に従事していましたが、貴博さんはお年寄りとの会話のなかで「地域の休耕田が心配」という声が多く上がっていることに気が付きました。そんな会話がきっかけで農業に興味が沸いた貴博さんは、今は使われていない農地で農業を行うことを決意し、9年ほど前、春奈さんとのご結婚と同年、農家となりました。

△にんじんの収穫作業中。
前後にひとりずつ乗車し作業を進めます

その土に合った野菜づくり

貴博さんの話を聞いてみると、もともと田んぼだった場所でお米以外の農作物をつくるのはなかなか難しいそう。
そして、田んぼひとつでも水捌けが良い場所・悪い場所、土の質など違いは多くあるため、全ての農作物を同じように育てるというのは至難の業。そういったことから、貴博さんはひとつひとつの田んぼを見極め、どの農作物が適しているかを考えます。また、例えばにんじんに合った土とわかっても、同じにんじんではなく様々な品種で挑戦し、1年をかけて育ち方を研究します。
このように難しい工程を経ながらも、今では田んぼ6ha、にんじん3ha、ピーマン30aもの田畑を管理しているのだとか。全部を合わせると、東京ドームが2つ(その隣の遊園地も⁉)すっぽり入ってしまう広さ。すごいです。
ちなみに、今年のにんじんの収穫量は8月の天気の悪さもあって昨年の7割くらいとのこと。遠野市の8月の天気、本当に雨や曇り続きだったのに、想像よりもたくさん収穫できていたことにとてもびっくりしました!

△取材当日は地域の保育園児が収穫体験に。
貴博さんは収穫の仕方をレクチャーしています

仕事を通して「生きている」ことを感じる

農家という仕事を通してのやりがいはたくさんあるけれど、そのひとつに「生きていると実感することができるんです」と貴博さん。朝日が昇るとともに作業を始め、日の光を浴びながら仕事をすることや、土を触りながらの作業を通して「生きている」ことを感じられるんだとか。
また、衣・食・住のなかでも食を支えるこの仕事はとってもやりがいがあるそう。特に、農家さんたちは国からの『〇〇(お米等)が欲しい』という要望に応えながら農作物を育てているケースもあるため、そういった意味からも日本の食を支えていることが貴博さんの励みになっているそうです。
確かに、朝日を浴びるのって気持ちが良いですよね。私は朝早く起きるのが苦手なので、毎日自然とともに生活し、人が生きるために絶対必要な「食」という大切な仕事の担い手として毎日奮闘している姿はとてもかっこよく感じられます。

△大きなにんじんを嬉しそうに見せてくれました。
食育にも繋がる収穫体験は、笑顔いっぱいです。

農地と働き手を守るために

貴博さんは地域の若手農家として奮闘していることをお伝えしましたが、それはすごく大変なことだと思います。大変だと感じていることを伺うと、意外にも「あんまりないなぁ」と貴博さん。しかし、やはり年々人口が減る中で農地を守る方法や、従業員に働きやすい環境をつくり出すことを日々考えながらお仕事をしているそう。それでも、それは良い意味での悩みなんだとか。そんな貴博さんの今後の目標は「目の前に広がる50haもの農地を管理して、耕作放棄地を無くすこと」、「従業員が安定して働ける環境づくり」、「収量を安定させること」なんだとか。
お話を聞いていて、近いうちに達成できるんじゃないか?と思うほどの熱量と行動力のある貴博さん。今後、達曽部地域がどんな風になるのか今からとても楽しみです。

おいしい野菜をつくる秘密

多田農産さんがつくるにんじんは本当にあまくて、にんじんが苦手な人でも食べられるほど。
なんでも、糖度の検査をした時にはスイカと同じ糖度だったそうで、それも納得するくらいあまくておいしいんです。なんでこんなにおいしいのかを伺うと、「まずは達曽部の水、土、気候、寒暖差があること。そして農薬はなるべく少なめに。あとは愛情!手をかけて大切に育てるからかな」と貴博さん。確かに、農薬を少なくするにはこまめな管理が必要だし、大きくのびのびと育つ環境を整えるのは愛情がなくては絶対に無理なことだと感じます。
また、わさびも育つほどの綺麗な清流がある達曽部ですが、なんとそのわさびが育つ水ではなく、別の山からの水が多田農産さんの田畑に流れているんだとか。
今回多田農産さんの貴博さんに取材して、改めて、達曽部地域の自然豊かな環境や気候、そして農作物を大切に想う気持ちがあり、それでやっとおいしい野菜ができるんだなと感じました。
きっと今回の取材だけではわからないとても大変なこともあるはずなのに、終始笑顔でお話してくださり、楽しそうにお仕事をなさっている貴博さんやスタッフの皆さんの姿を見て、とても元気づけられました。お忙しい中取材を受けてくださりありがとうございました!

多田農産さんのにんじんでつくるジュースはいかが?

にんじんの独特の味が嫌いな人でも食べられちゃうような、本当にあまい多田農産さんのにんじん。私たち山あいの手しごと屋さんは、そのにんじんをより皆さんに手軽に楽しんでもらえるよう、ジュースやジャム、ゼリーにして皆さまにお届けしています。
また、少しでもにんじんを楽しんでいただけるよう、にんじんジュースにはペーストを入れ、りんごジュースをブレンドしてより飲みやすく仕上げています。
にんじんが大好きな方も、ちょっと苦手意識がある方も、ぜひ、とってもおいしいにんじんを使用したジュースやジャム、ゼリーをご賞味くださいませ。

おすすめ商品はこちら

にんじん 180ml

398円(税込)